話を聞いた人:本田彬(ほんだあきら)さん
福島市内では数少ない国産にんにくの栽培農家
福島市内では数少ない、にんにく栽培農家の「達磨農園(だるまのうえん)」。白く大きな粒の最高級にんにく「福地ホワイト6片」を、有機JAS認証を目指した有機栽培で手塩にかけて育てています。
達磨農園を任されている29歳の本田彬さんは、福島市出身。もとは医療関係のサラリーマンでしたが、脱サラしてキュウリ農家で約4年間修行。本田さんが農家として独立したいと考えていたタイミングと、本田さんの幼なじみで、東京でタトゥーやデザイン関連事業を行う会社の代表をしている山田さんの「農業をやりたい」という思いが一致し、令和3年に福島市内で達磨農園がスタートしました。
とても目を惹く印象的なロゴマークやホームページには、そんな背景があったんですね。

なぜにんにくを選んだのか
「最初、農園で夏野菜のセットを作ったこともあったけれど、なかなか上手くいかなかった」という本田さん。
いろんな野菜に手を出してどれも中途半端で終わってしまうよりは、何か一つに絞ったほうがいい。そう考えて、何がいいかといろいろ探していくなかで、にんにくにたどりつきました。
にんにくは保存性が高く、ある程度の単価も見込め、加工もできます。国産にんにく日本一の産地・青森県で作られる最高級品『福地ホワイト6片』という品種は寒冷地向けの品種で、同じ東北の福島でも作れるだろうということで、まさに本田さんたちの希望にかなう農作物でした。
『福地ホワイト6片』は名前の通り、にんにく1玉に4〜6片と一粒が大きいのが特徴。香りが強く、一粒に濃厚な味わいと栄養が詰まっています。

「あとは、どうせ作るなら、栽培を手がけている人が少ないものがいいなと。お客さまに直接販売したいという思いがあって、それらを叶えるのがにんにくだったんです。あとは僕がにんにくが好きだというのもあります。地元で穫れたにんにくを手軽に食べてほしいですね」
本田さんに教えてもらった達磨にんにくのオススメの食べ方は、パスタやアヒージョ、すりおろしてカツオの薬味として食べるのが美味しいそうです。
ヴィンテージ栽培
達磨農園では「ヴィンテージ栽培」に取り組んでいます。
一般的な野菜はF1品種と呼ばれ、毎年種を購入し、それを植えて育てるというもの。一方「ヴィンテージ栽培」は達磨農園さんの造語で、自分たちで収穫したにんにくを種として植えて、それを育てて翌年収穫するという、昔ながらの方法で栽培することを指しています。
さらに、有機JAS認証※ を目指した有機栽培で、極力手作業で大切に育てています。
※有機JAS認証:農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品を認証し、「有機JASマーク」の使用を認める制度。堆肥等で土作りを行い、化学合成肥料および農薬の不使用を基本とするなど「有機JAS」に適合した生産が行われていることを第三者機関が審査します。(農林水産省「有機食品の検査認証制度」より)

「うちの会社がヴィンテージもののバイクやデニムを取り扱っているので、その繋がりもあるんですよ」と本田さん。
在来種の栽培というより「ヴィンテージ」という言葉のほうが、古き良きものを大切にしたいという背景や想いが伝わりやすいかもしれませんね。
直販にこだわる
自分たちの強みは、InstagramやYouTubeなどのSNSを使った情報発信にあるという本田さん。Instagramのフォロワーは7,000人を超えています。これらを使って積極的に農園や農作業の様子を発信していることもあり、達磨農園の名前が少しずつ広まってきていると実感しているそう。
そのような強みを活かすため、お客さまに直接販売することにこだわっています。
「やっぱり対面で販売するのは楽しいですね。ダイレクトに感想をいただけるのは僕たちのやりがいにも繋がりますし、最近ちょっとずつ、Instagramや商品を卸しているお店などを通じて、達磨農園を知っているよとか、ロゴを見たことがあるよと言ってくれる人が多くなってきたかなという実感があります」
若い人たちに「農業ってかっこいいんだ」と伝えたい
達磨農園がSNSで農作業の様子や農園について積極的に発信する理由は、お客さまに商品の魅力を直接伝えることのほかにももう一つあって、それが「若い人に農業の魅力を伝える」こと。
農業離れといわれるなかで、本田さんと仲間たちは「農業ってかっこいいものなんだ」と思ってもらえるような活動をしようということで、達磨農園のロゴマークやユニフォームをはじめとするデザインへのこだわりや、農家としてのライフスタイルを自分たちと同じ若者たちに見てもらい、農業の魅力を発信し続けています。

「僕も会社の代表も福島市で生まれ育って、やっぱり地元が好きなので、地元を盛り上げたいという想いがあります。そんな活動をしている人たちと一緒にイベントにも積極的に出ていますので、ぜひ皆さんに福島市でできたにんにくを食べてほしいと思っています」
買える店・食べられる店
直販にこだわる達磨農園さんのにんにくは、「軽トラ市」のほか、以下のお店で購入・食べることができます。
また、オンラインショップから購入も可能。特に、手軽に使える「にんにくスパイス」が人気だそうです。

買える店(2024年11月13日現在)
食べられる店(2024年11月13日現在)
- 生パスタのお店 Cuocca(クオッカ)
- 笑夢 CURRYRIA&CAFE
- 居食厨房ちゃりちゃり
- バン才-BANZAI-
- やきとん あざます
- やきとり 江口
- アケボノバラック
- 来音(ライオン)
- らーめん餃子 おがた
- ステーキハウス OZ THE BUTCHERS
- にかい也
- 食堂 和(キッチンカー)
達磨農園
メイン商品:達磨にんにく、にんにくスパイス、にんにくスープ(インスタント)