福島駅前 軽トラ市

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糀づくりは子育てと同じ。心を込めてつくっています

名郷糀屋(なごうこうじや/ふくしま田園中枢都市圏・本宮市)

福島県本宮市にある名郷糀屋。福島県のブランド米である『福、笑い』を使った甘酒や、ももやりんごなど果物を使った甘酒など、珍しい商品を販売しています。今日もまた、新商品の開発・研究を重ねています。

INTERVIEW

話を聞いた人:名郷糀屋第16代・國分義正さん(左)と、第17代・國分顕一郎さん(右)

ふくしま田園中枢都市圏とは、福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、飯舘村の9市町村を構成団体とする連携中枢都市圏です。

この圏域は、東京圏からのアクセスが良く、都市としての高い生活機能と利便性を持ちながら、豊かな自然と農村が織りなす『田園』を併せ持ち、温かみのある地域社会が形成された中で、ゆとりのある生活をおくることが出来ます。


圏域の繋がりを深めるため、福島駅前軽トラ市には各圏域市町村からも出店。本宮市にある名郷糀店も毎回出店し、すっかりおなじみのメンバーです。

創業は1688年。老舗糀屋『名郷糀屋』

名郷糀屋の店舗兼工場

本宮駅から車で10分ほど。自然に囲まれた場所に名郷糀屋はあります。1688年以来、國分家は代々この地で糀づくりをしてきました。

9年の会社員生活を経て17代目に

17代目の顕一郎さんは、小さい頃から祖父母や父の糀づくりを見て育ちました。家族の仕事を見るたびに、「糀づくりは大変そうだなあ」と感じていたそうです。しかし、もともと何らかの事業で社長になりたいという夢があった顕一郎さんは、代が替わるタイミングで9年続けた会社員を辞め、名郷糀屋を引き継ぐことにしました。実際に糀づくりをしてみると、大変なことももちろんありますが、商品開発などが楽しく、毎日充実していると話していました。

「東京などほかの地域に出張に行くときは、必ずその土地の美味しいものを食べて研究しています。和食に限らず、洋食やスイーツなど、幅広い食べ物を自分の舌で確認し、新商品に活かせないか考える日々です。食に関するアンテナは常に高くしていますね。」

『福、笑い』甘酒の商品化は簡単ではなかった

『福、笑い』を使った甘酒のほか、りんごやかぼちゃを使った甘酒もある

顕一郎さんが着目したのは、福島のブランド米『福、笑い』でした。日頃お世話になっている米農家さんから、「『福、笑い』を使って商品をつくってみたら?」と提案され、商品開発に着手しました。

一般的に、糀をつくるときにブランド米は使いません。ブランド米を糀づくりに使うと粘り気が出て団子状になってしまい、商品化するのが難しいそうです。『福、笑い』も同様に、糀にするにはかなり苦戦しました。

他の糀づくりにも増して優しく丁寧に時間をかけて作業を試みましたが、通常の糀が2~3時間でできるところ、『福、笑い』では5時間程度の時間が掛かり、また、糀にする米を蒸かす時間調整がうまく行かず、商品にならなかった時もありました。種麹(たねこうじ)の投下時間もわからず、どうすれば『福、笑い』で糀がつくれるか、研究の日々が続きました。

「どうしても『甘すぎる』甘酒ができてしまうんです。甘酒は適度な甘さというものがあり、甘すぎても商品にはなりません。そのあんばいがなかなか難しかったですね。」

開発に難航した『福、笑い』での甘酒ですが、会社全員の努力が実り、なんとか商品化にこぎつけることができました。『福、笑い』を使った甘酒をつくっているのは全国でも名郷糀屋だけであり、同店の主力商品の1つとなっています。

猛暑の影響を乗り越えて

「室(むろ)」と呼ばれる部屋。ここで日々糀をつくっている

夏は糀が一番多くつくれる季節だそうです。理由は、温度に加え、ある程度の湿度が見込めるためです。しかし、皆さんご存知の通り、2023年の夏は猛暑でした。室の中も温度が高くなってしまい、良質な糀をつくることが難しかったのです。

「室の中にクーラーを入れると、湿度が変化してしまいますから、扇風機やクーラー等の機器を設置するわけにはいきません。糀菌は30度以上だと死んでしまうため、原始的ですが、床に打ち水をしたり、氷を置いてみたりといろいろやってみました。うちわで扇いでみたりもしましたが、かなり手間がかかりましたね。」

糀づくりは「子育て」と一緒

糀づくりの工程の一つ。蒸かしたお米の粗熱を取っている段階

糀づくりの一番の大変さは、つくり始まったら3日間は手を離せなくなってしまうこと。顕一郎さんは「糀づくりは子育てと一緒。子どもは少し目を離すと勝手にどこかに行ってしまうので注意が必要ですが、糀も温度・湿度の僅かな変化に弱いところがあるので、目が離せないんです。」と語ります。

特に糀づくりが佳境を迎える3日間は「寝るのさえ怖い」と話す顕一郎さん。糀がしっかり出来ているか心配になり、深夜2時ごろに起きて糀の室(むろ)に見に行くこともしばしば。大切に、大切に糀づくりをしている様は、まさに寝かしつけに苦労している親御さんのようです。そのような苦労があるからこそ、糀が出来上がった時は本当に嬉しいと語っています。

顕一郎さんの、糀への探究心は絶えません。

「祖母が糀づくりの上手な人だったんですよ。だから『17代は糀づくりが下手』などと言われないよう、日々鍛錬してスキルを上げ、美味しい糀をつくっていきたいですね。」

出荷前の甘酒商品。85度~87度で温度を保っている

「軽トラ市」に参加するまでの経緯

軽トラ市に参加する顕一郎さん

本宮市は福島市よりも郡山市のほうが地理的に近いですが、なぜ福島市で開かれている「軽トラ市」に参加したのでしょうか。

「もともと参加してみたいという気持ちがあったのですが、自分が所属していた『本宮若手農業団』に紹介されて参加しました。また、私自身、福島市の高校出身ということもあり、福島市は身近な土地だったんです。実際に軽トラ市に参加してみたら、ふくしま田園中枢都市圏つながりで川俣町の生産者さんもいて、他市町村の生産者さんの受け入れにも柔軟なイベントだと感じました。毎回賑わっていますし、お客さんも良い人が多いので楽しいですね。」

軽トラ市に来る方へのメッセージ

最後に、軽トラ市に来られるお客さんへのメッセージを伺いました。

「糀屋さんはうち(名郷糀屋)しか出店していませんし、ぜひうちの出店に立ち寄って欲しいですね。糀の使い方など、気軽に聞いていただけるとお教えできます。例えば、糀としょうゆを1:1で混ぜ、にんにくを入れるとお酒のおつまみとして美味しいですよ。もちろん、甘酒のことも聞いてください。いろんなお話ができると思います。」

名郷糀屋

住所:福島県本宮市本宮竹花42
電話:0243-33-3075
メイン商品:甘酒、味噌、糀など

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