話を聞いた人:まるせい果樹園 社員の佐藤ゆきえさん(写真左)(写真右は代表の佐藤清一さん)
人の手を大事に『愛情を込めて』果物を育てる
まるせい果樹園では、初夏のさくらんぼに始まり、桃、日本なし、ぶどう、西洋なし、柿、りんごに至るまで、福島でとれる主要な果物を生産しています。主力商品である桃は、6月下旬~10月初旬まで、20品種を誇ります。
佐藤さんは、「どれだけ丁寧に手をかけられるか、人の手が一番大事です。果樹栽培はほとんど機械化ができないため、まさに『愛情を込めて』育てています」と、こだわりを語ります。
また、平成29年にGLOBAL G・A・P(グローバルギャップ)を取得し、人にも環境にも優しい持続可能な農業の取り組みを通して、安心・安全な果物を生産しています。
スタッフとのコミュニケーションも大事にしているといいます。
「人がイライラしていると果物にも伝わります。働く人たちの心を大事にして、よい果物を育てる原動力を維持していきたいです」
来てもらうことを考えて滞在できる園地や施設を整備
まるせい果樹園では、「お客様が滞在すること」を想定して、観光客や地元の方向けに散策できる園地、旬の果物パフェを楽しめるカフェ「森のガーデン」、果物狩り用の果樹園エリアなどを整備しています。その広さは、所有する9ヘクタールの敷地のうち、2.5ヘクタールにも及びます。
「カフェの果物パフェは、最盛期には3時間待ちになることも。自家用車以外で来園した方にも待ち時間に楽しく過ごしてもらえるよう、案内看板などを少しずつ整備してきました」
2024年5月下旬頃のさくらんぼ狩りシーズンからは、果樹園の周辺散策に利用できるレンタサイクル事業も本格的に始まる予定です。
「飯坂温泉や足湯など、福島市民にとっての日常の風景も、観光客にとっては驚きだったり感動があります。そんな『福島らしさ』を見て感じてもらって、福島ファンを増やしたいです」と佐藤さんは意気込みます。
気候変動に合わせて収穫時期を変える
佐藤さんは、この数年で気候変動を強く実感しているそう。今年は猛暑の影響で、全体的に果物の収穫時期が早まりました。りんごの日焼けは5~6年前から多くなってきた印象で、今年は特に多かったといいます。
「『より糖度が高い果物をお届けしたい』と努力してきましたが、気候変動に合わせて少し緩和させていかなければならないと考えています」。
例えば、完熟すると糖度が20度を越えるさくらんぼの「佐藤錦」は、糖度18度を目安にお客様の手元に届けることを基準に考えて収穫を早める、といった具合です。
お客様と生産者をつなぐツール作りに力を入れたい
チラシや広報物の制作が得意な佐藤さん。お客様に一番美味しい状態で食べてもらえるよう、商品に案内チラシを同封して保存や追熟の方法も伝授していきたいと意気込みます。
「果物は、食べ方ひとつで感じ方が大きく変わります。一番美味しい状態で食べてもらえるよう、お客様に果物の特徴を教えるのも仕事のひとつ。イラストやマンガを用いて、お客様の興味をひくような読み物になるように心がけています」
思い立ったらすぐに作ってみて、スタッフに確認してもらうのだそう。お客様と生産者をつなぐツールを充実させています。
6次化商品おすすめNo.1は「フルーツソルト」
まるせい果樹園では6次化商品も手掛けていますが、おすすめは、フルーツソルトです。塩10kgと果物10kgを1:1の割合でじっくり炊きこむことで、塩に果物のまろやかさをプラスしています。食べ方は、おにぎり、きゅうり浅漬けなど、通常の塩の代わりに何にでも使えます。バニラアイスにかけてもおいしいのだそう。
フルーツソルトの賞味期限は2年と長く、塩には殺菌効果もあります。ジュースやジャム、コンポートなどと違って腐敗の心配も少なく、競合他社と差別化できるのも強みです。さくらんぼ、桃、ぶどう、かき、りんごにみかんと、すべてまるせい果樹園で作った果物を元に作っており、今後、オンラインショップでも販売予定です。
フルーツソルトの価格(税込)
さくらんぼ 700円
桃 600円
ぶどう 700
かき 400円
りんご 500円
みかん 600円
有限会社まるせい果樹園
住所:〒960-0231 福島県福島市飯坂町平野字森前50-1
TEL: 024-542-0679
メイン商品:さくらんぼ、桃、日本なし、ぶどう、西洋なし、柿、りんご