話を聞いた人:坪池果樹園 代表 坪池史明さん
20代の若さで引き継いだ果樹園
先代から果樹園を任されたのは史明さんがまだ20代の頃。それまでは4人兄弟(姉二人、兄1人)の末っ子ということもあり、市内飲食店やサラリーマンなど、家業とはまったくの異業種で社会人経験を積んでいました。
「姉たちは嫁いでいき、兄は自分の店を構えて奮闘していて。私も『自分で何かをしたい』と思っていたところ、母の体調が悪くなり、自然の流れで家業を継ぐことになりました」と史明さん。
現在、三代目である史明さんと奥様、両親に加え、数名の従業員で約2.5haの畑を営んでいます。
SNSを使ったつながりで県内外から情報収集
今も一緒に働いている両親ですが、代替わりするにあたって「もうお前に任せるから、俺たちは何も言わない」と言われたそう。「もちろん本当に困ったときは相談に乗ってくれますが、一つひとつ経験を積みながら自分たちで方向性を決めていくのはやりがいを感じるし、性に合ってます」。
「同じ農家の先輩に相談したり、SNSを使って県外の農家の情報を集めたり。今は福島地区の「ぶどう専門部会」本店部員としても活動していて、消費者においしい果物を届けるためにたくさんの農園と情報共有しています」。福島の果樹園全体で品質の良さを確保するため、情報共有は欠かせません。
10年後も福島県でおいしいりんごが実るのか
2023年の桃は天候にも恵まれおいしく実っていますが、数年間続いている猛暑を振り返り、今後の見解について史明さんはこう考えています。
「温暖化の影響で果物の収穫時期が前倒しになっています。10年後、この場所に適した果物はりんごではなく柑橘系のみかんに代わっているかもしれないと思うことがあります」。
気候に左右される商売だからこそ様々な品種の勉強をし、品種の切り替えも念頭に入れて柔軟に対処できるよう準備しているそうです。
手間暇かけて育てる自慢の果物。農業って楽しい!
桃、ぶどう、りんご、米の栽培を行っている坪池果樹園。中でもぶどうの栽培は難しいとのこと。
「子どもの頃からぶどうが好きで、今は息子もぶどうが一番好きなんです」と笑顔で話す史明さん。栽培技術が進化し、種なしぶどうが主流となった昨今、生産者の手間も増えています。「手間が掛かり難しいからこそ、なおさら可愛い」と話す姿は果物に対する愛情でいっぱい。
坪池果樹園の果物は直売所や道の駅のほか、福島駅前の老舗カフェ「珈琲グルメ」のスイーツにも使われています。
「軽トラ市では糖度18度以上の果物をイベント価格で提供します。この機会にぜひ手に取って食べてください」。
坪池果樹園
住所: 福島県福島市飯坂町東湯野字下岡27
TEL/FAX024-542-7074
取扱品種:桃(あかつき、まどか、川中島白桃※7月中旬~8月下旬)、ぶどう(巨峰、高尾、クイーンニーナ、ピオーネ、シャインマスカット※9月~10月中旬)、りんご(サンフジ※11月下旬~12月下旬)