話を聞いた人:未来農業株式会社 代表取締役 丹野友幸さん
福島市の南端、山の中にあり美しい水と寒暖差の大きな盆地に佇む「未来農業株式会社」。約25ヘクタールの広大な水田でご夫婦と常勤スタッフの合計8名で酒米農家を営んでいます。約20年前、丹野さんが農業に携わり始めたタイミングで自社の酒米を加工販売する「水原麹店 醸し屋」(以下、醸し屋)が立ち上げられ、現在は味噌や麹の他、ポン菓子、生キャラメルなども販売。 子供に食べさせたい完全無添加のお菓子を作っています。
特徴とアピールポイント
醸し屋で販売している加工品は、「子供に食べさせたい」「安心」「無添加」がコンセプト。元々は丹野さん夫婦が自分の子どもに食べさせたいと思って作り始めたそう。”砂糖を使わずに無添加でおいしいもの”をと、未来農業で育てた米や野菜を使って丁寧に手作りしています。
お店で一番人気の商品は手作りの味噌。自然にあわせた四季の移ろいの中で、時間をかけて熟成させた伝統的な発酵調味料なので添加物は入っていません。使い続けるほどに熟成する生味噌の味が楽しめます。
店頭販売は、未来農業醸造元での販売の他、JAふくしま未来直売所「ここら」7店舗、市内陣場町にある「醸し屋とうつぎ屋」などで行っています。
20歳で飲む日本酒を自分たちでつくる
昨年(2021年)より「19歳の酒初酔(ういよい)プロジェクト」という面白い取り組みも始まりました。成人でありながら、まだ飲酒ができない19歳が対象となった企画で、土にまみれ、米に触れながら、自分たちを祝う初めての日本酒をつくってもらおうというもの。米作りから日本酒づくりまで体験することができます。
霜、ひょうなどの自然災害についてどう感じているか
「米は8月の気温や大雨などで仕上がりが変わるもの。数年前、この辺りの田んぼは全部水没してしまったこともありました。ただ、自然災害って毎年のことなんですよね。だからある程度、覚悟はできている。それよりも困るのは、コロナウイルスの影響による流通価格の低下です。外食が減った分、市場に米が余ってしまって価格が下がる。今まで無駄にしてきた物が明らかになって、みんなが食べ物のことをちゃんと考えなくちゃいけない時期に来ているのかなと思っています」
この仕事のやりがい
「この仕事のやりがいは、なんと言ってもおいしいお酒が飲めることですね」と笑う丹野さん。まずは酒米がおいしい日本酒に仕上がることが第一だそう。
「今年もいいお米だった。お酒がおいしくできたよと酒蔵に言ってもらえると何よりもうれしいです。また、醸し屋のお客様からは他店の味噌は食べられないと言っていただくこともあって、やっぱり自分の仕事を認めてくれる一言に出合えるとうれしいですね」
丹野さんからのメッセージ
「福島市の端っこの山の中で、環境にも優しい商品づくりを目指してやっています。素朴な中にもしっかり味を感じられるいい商品が揃っていますので、よろしくお願いします」
水原麹店 醸し屋(未来農業株式会社)
住所: 福島県福島市松川町水原字花折20
TEL/FAX024-502-4617
メイン商品:味噌、麹、ポン菓子、米粉クッキー、生キャラメル、プリンなど