話を聞いた人:とがし果樹園 3代目園主 冨樫 孝志さん
福島市笹谷にある とがし果樹園は、孝志さんのお祖父さんの代から3代続く家族経営の果樹園です。メイン商品は桃、梨、りんご。桃は9品種、梨は洋梨を含めて6品種、りんごは5品種を育てています。7月中旬~12月いっぱいまで、フルーツの旬が続きます。
完熟のフルーツを全国にお届け
とがし果樹園では、お客様に果物本来の味を味わってもらうため、樹になっている状態で完熟になるまで待って収穫する「樹上完熟」にこだわっています。収穫した果物は仙台の青果店に卸すほか、市内のイベントやオンラインショップで販売しています。
原発事故をきっかけに環境に目を向けるように
果物の品質にとことんこだわり、化学肥料を極力控えた土づくりや減農薬栽培など、「自然型農業」を実践している とがし果樹園。この「自然型農業」をはじめたのは孝志さんの代になってからなんだそうです。そのきっかけは東日本大震災の原発事故でした。
「原発事故が起きた当時は放射能を体に取り込まないように皆マスクをしていました。農業でも薬剤散布の際には必ずマスクをします。その時にふと、『必要不可欠なものにせよ、マスクをしなければならないほど害のあるものを散布している』と改めて気づかされました。それからは、近隣の先輩方のアドバイスをお聞きしたり、化学農薬以外で代用できるものを使用したり、試行錯誤を繰り返しながら現在の栽培法を確立。人にも環境にも優しい、なるべく自然に近い育て方を実践しています」と孝志さん。
自然災害は予測不可能。気を抜かずリスク回避を
福島市内に複数の園地を有する とがし果樹園では、2022年5・6月に ひょうによる被害を受けました。
「フルーツライン沿いの梨はかなりひどい状態でした。県南ではひょう被害がよく聞かれていましたが、県北はこれまでは少なかったので油断してましたね」と孝志さんは振り返ります。「自然相手では予測できないことが多いのでなるべく気を抜かないようにして、予測できるものに対しては事前にリスク回避の対策をすることが、これからの農業では必要だと感じています」とも。
孝志さんは、近年、自然災害が増えた要因に、車の排気ガスや化学農薬(果樹の場合、永年作物の為、必要不可欠ではあります)の散布など、自分たちで出しているものの影響も大きいと考え、「自然型農業」の重要性を再認識したそう。
手間をかければ樹が応えてくれる
孝志さんは、果物の生産から販売まで一貫してできることがやりがいだと言います。
「自分で手をかけた分、良いものができます。ちゃんと樹も反応してくれます」と孝志さん。樹によって根のはり方が全然違うため、一本一本、樹に合わせた世話をしているのだそう。
「果物の収穫期には、気温や湿度、土壌の状態、根から吸い上げる水の量、毎日どこかしら変わります。少しの変化も見逃さないよう、毎日果物と対話をしています」と、笑顔を見せてくれました。
孝志さんおすすめ 新しい品種の梨「あきづき」
9月は梨が最盛期です。とがし果樹園では幸水の旬が終わり、豊水→あきづき→新高(にいたか)→ラフランスへと旬が続きます。10月上旬頃からはりんごの旬もスタート予定。
孝志さんのおすすめの品種は「あきづき」。
「新しい品種の『あきづき』は、サクサクしていて、きめ細やかで、口の中で溶けるような食感です。オンラインショップで購入できますので、ぜひ一度ご賞味ください」
とがし果樹園
〒960-0241 福島県福島市笹谷字下横堀42-3
TEL&FAX 024-558-1384
メイン商品:桃、梨、りんご